ワンちゃん・ネコちゃんの健康を腸から整えよう!②腸活のすすめ

  • 食事
2023/05/26

はじめに

前回の記事では、ワンちゃん・ネコちゃんの腸内細菌の役割と、腸内環境が乱れた「ディスバイオシス」の状態になるとどういった悪影響が出るのかについてお話ししました。
腸内フローラを日頃から健康な状態に保つことで多くのメリットがあることは、よく知られています。
今回はワンちゃん・ネコちゃんの「腸活」に焦点を当ててお話をしていきます。

腸内細菌の検査

腸内フローラの状態を評価するために、ワンちゃん・ネコちゃんのうんちを調べる検査法の開発が近年進められています。
欧米では、「犬のディスバイオシス指標(DI)」という特定の7種類の細菌の数の増減を測る検査があり、ワンちゃんの腸内フローラを評価する有効な検査法として多くの臨床研究が進められています。1)
日本国内でもいくつかの会社で検査が可能ですが、検査結果の解釈やその後の治療・対策については、今後のさらなる研究が期待されています。

もしディスバイオシスになってしまった場合、動物病院での治療が必要になることもあります。
また治療といっても、食事療法や抗菌薬をはじめとするさまざまな方法があるので、かかりつけの動物病院と相談しましょう。

日常から取り組める「腸活」のすすめ

飼い主さんが日頃からワンちゃん・ネコちゃんの腸内フローラのためにしてあげられる取り組みとしては、消化の良い食事・プロバイオティクス・プレバイオティクスなどによる「腸活」がおすすめです。
病気でないワンちゃん・ネコちゃんも、腸内フローラを整えることでおなかの調子が良くなって便秘や下痢になりにくくなり、結果として病気にかかりづらく健康な状態を保つことができるようになります。

・ 消化の良い食事

「消化の良い食事」とは、消化管への負担が少なく、栄養素を十分に吸収することができる食事のことをいいます。
とくに未消化のタンパク質は、腸内の有害菌のエサになり、うんちの臭いの原因にもなります。
食事をきちんと消化できているかどうかは、うんちの量・固さ・臭いを目安としてもよいでしょう。

・ プロバイオティクス

腸内フローラのバランスを改善することによって、ワンちゃん・ネコちゃんなどの宿主の健康に好影響を与える生きた微生物のことを「プロバイオティクス」といいます。
例えばヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌や納豆に含まれる納豆菌などは、馴染み深いのではないでしょうか。

・ プレバイオティクス

また、似たような言葉ですが「プレバイオティクス」というものもあります。
「プレバイオティクス」とは、体内に入ったあとに胃や小腸で分解されず、大腸内の有用菌を増やす働きを助けることで腸内フローラを健康的なバランスにし、身体に良い影響を与える食品成分のことをいいます。2)
具体的には、フラクトオリゴ糖(FOS)やマンナンオリゴ糖(MOS)などのオリゴ糖類、セルロースやサイリウムなどの食物繊維類がそれに該当します。

最近はプロバイオティクスのサプリメントも多く市販されていますが、できるだけ信頼性の高い製品を選びたいですね。
製品のホームページ情報などを参考にしたり、サンプルなどで試してみたりできる場合もありますが、食事の変更やプロバイオティクス・プレバイオティクスを試してみたいときはどういったものが愛犬・愛猫に合っているのか、一度獣医師に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

腸内フローラは宿主の健康に重要な役割を果たしており、「腸活」は健康なワンちゃん・ネコちゃんにもおすすめです。
一方で、とくに消化器疾患などのあるワンちゃん・ネコちゃんは、ディスバイオシス対策が必要となることもあります。
その場合はうんちを調べるディスバイオシス指数の検査をしたり、動物病院で治療をしたりして改善していくことが大切です。
また、腸内細菌のバランスを保つためには、消化のよい食事を選ぶことやプロバイオティクス・プレバイオティクスをうまく取り入れることなど、飼い主さんが日頃から取り組めることもあります。
獣医師とも相談し、愛犬・愛猫に最適な「腸活」を続けていきたいですね。

参考文献

  • 1) Al Shawaqfeh MK, Wajid B, Minamoto Y, et al. A dysbiosis index to assess microbial changes in fecal samples of dogs with chronic inflammatory enteropathy. FEMS Microbiol. Ecol. 2017;93(11)
  • 2) 公益財団法人 腸内細菌学会 HP より

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