結構多い!ネコちゃんの特発性膀胱炎②「おうちでできる対策法」

  • 下部尿路疾患 (尿路結石症など)
2022/12/12

ネコちゃんの下部尿路疾患の中で最も多いといわれている特発性膀胱炎ですが、その悪化要因としてストレスおしっこが濃くなってしまうことがあげられています。
そして実はこの2つの要因に対して、飼い主さんがおうちで取り組めることがたくさんあるのをご存じでしたか︖
今回は、その具体的な方法についてご紹介します。

対策①:ストレスに配慮する

まずはネコちゃんのストレスとなるものがないか、よくおうちの環境を観察してみましょう。
2013年にAAFPとISFMという世界の大きな猫学会が、ネコちゃんにとって快適な飼育環境づくりのガイドラインを5つの柱に分けて解説しています。1)

【AAFP&ISFM 猫にとって快適な飼育環境5つの柱】

  • 1. 猫にとって安全な場所を作る
  • 2. 複数の離れた場所に大事なものを用意しておく(トイレ、フード、水、爪とぎ、など)
  • 3. 遊びや捕食行動の機会を作る(知育おもちゃなど)
  • 4. 好意的で一貫した態度で予測可能な行動をとる人と猫の交流をもつ(内弁慶な性格の猫を無理やり他人の前に引っ張り出さない、大きな声を出さない、など)
  • 5. 猫の嗅覚の重要性を尊重した環境をつくる(強いにおいのするアロマを使わない、フェロモン剤の使用を検討する)

もし、これらの項目で自分の家ではできていないなと感じるものがあれば、改善する工夫をしてみましょう。
また、獣医師に相談してみると、ストレスを軽減させるといわれている成分(アルファS1トリプシンカゼイン、L-トリプトファン)を含む食事への変更を提案されることもあるかもしれません。

対策②:おしっこの濃さを調整する

具体的にはお水を飲む量を増やすことでおしっこの濃さを薄めることができます。そのためには下記のような対策方法があげられます。

  • ・ お水を飲める場所を増やす、給水方法を工夫する
  • ・ 飲水量やおしっこへの水分を増やすような配慮のされているフードを選ぶ
  • ・ 適度な運動で喉を乾かせる

まずはお水をたくさん飲ませるために、複数の水飲みボウルを設置する、自動給水機を使うなどの工夫をしてみましょう。

ドライフードをウェットフードに変えてみることも水分補給量を増やす一つの方法です。また、タンパク質や塩類(ナトリウムなど)が多く含まれているフードを食べるとお水をよく飲んでくれるようになるといわれています。
他にも、消化のよい食事は糞便の量を減らし、うんちを作るために使われる体内の水分量を減らしてくれます。結果、その分の水分をおしっこへもっていくことで濃さを薄めることができます。

さらに、ネコちゃんと一緒に遊んで身体を動かし、喉を渇かすことで自然と飲水量は増えます。遊んで身体を動かすことはストレス対策にもなり、一石二鳥です。

まとめ

ネコちゃんの特発性膀胱炎について、理解は深まったでしょうか。再発防止としての対策はもちろん、特発性膀胱炎でないネコちゃんにとっても今回ご紹介した2つの対策法に気をつけてあげると、ネコちゃんの病気の予防や生活の質を向上させることにつながります。この記事を読んで取り組めそうなことがみつかったら、早速始めてみませんか?

参考文献

  • 1) Ellis S.L.H., Rodan, I., Carney, H.C., et al. AAFP and ISFM feline environmental needs guideline, J Feline Med Surg,2013; 15: 219-230.

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