みなさんは「特発性膀胱炎」という病気を耳にしたことがありますか?
ネコちゃんの下部尿路疾患はよく知られていますが、そのうち尿路感染症や尿路結石症をおさえ、一番多く認められるのが実は特発性膀胱炎です。特発性膀胱炎は、ネコちゃんの下部尿路疾患のうち6割を占めているという報告もあります。1)

特発性膀胱炎の症状
特発性膀胱炎の症状としては、血尿・頻尿・排尿痛・尿しぶり・尿失禁といったものがみられます。数日でこれらの症状が治まることもありますが、一方で非常に再発しやすいのがこの病気の厄介な特徴です。急性の特発性膀胱炎のネコちゃんのうち、1~2年以内の再発率は約50%というデータもあります。2)
先ほどの例にあげたように、排尿に関して普段と違う様子がみられたら獣医師に相談し、必要に応じて動物病院へ連れていきましょう。
特発性膀胱炎の治療法
「特発性」という言葉は、はっきりとした原因がわからない、という意味で使われる医学用語です。
その名の通りこの病気は原因が確定しておらず、決定的な治療薬がないのが現状です。 しかし、徐々に研究が進むにつれ、ストレスやおしっこが濃くなってしまうことが関係していると考えられ始めています。
特発性膀胱炎はどの年齢・性別のネコちゃんでも起こりうる病気ですが、特に中高齢期や肥満、去勢済みのオス、室内飼いもしくは限られた範囲で外出するネコちゃん、同居のペットがいるネコちゃんに多いともいわれています。

もし病院で特発性膀胱炎と診断されたら、現在考えられている2つの悪化要因の対策をとっていきましょう。
次の記事では、おうちでできる特発性膀胱炎の具体的な対策法についてご紹介します。
参考文献
- 1) Gerber B, Boretti FS, Kley S, et al. Evaluation of clinical signs and causes of lower urinary tract disease in European cats. J Small Anim Pract 2005; 46: 571-577
- 2) John.M.Kruger, Tina.S.Conway, John.B.Kaneene, et al. Randomized controlled trial of the efficacy of short-term amitriptyline administration for treatment of acute, nonobstructive, idiopathic lower urinary tract disease in cats. JAVMA, 2003; Vol 222, No. 6.