ペットとの平和で楽しい暮らし。そんな何気ない日々の中でも、地震などの自然災害はいつ起こるかわかりません。
平時から備えておくことで、いざというときにペットと飼い主さんの安全が保たれ、安心感も得られます。
そこで今回は、ペットとの暮らしで備えておきたい災害対策をご紹介します。
災害対策を行う前に知っておきたいこと
ペットの災害対策を行う前に、基本的な考え方を理解しておくことが大切です。
環境省による「人とペットの災害対策ガイドライン」1)では、大規模災害時には公的機関による「公助」が始まるまで、飼い主さんによる「自助」と近隣住民や地域による「共助」で乗り越える必要があると書かれています。
発災時にはまず飼い主さんがご自身の安全を確保した上で、災害の状況を見極めます。そして、より安全な避難場所を確保するためにペットとともに避難行動をとる、もしくは在宅避難を行うことが重要になってきます。
つまり、飼い主さんが日頃からペットの防災を考えて十分な備えをすることで、自分自身やペットを守ることができるのはもちろんのこと、地域の防災力の向上にもつながるのです。
平時に飼い主さんが行うペットの防災対策
「人とペットの災害対策ガイドライン」では、具体的にペットの防災対策の方法が書かれています。
ワンちゃんとネコちゃんで細部は異なりますが、基本的なポイントは同一です。
重要なのは、ワンちゃんやネコちゃんの防災対策は人とは違う、ということをよく理解しておくことです。
【(1)自宅の防災対策】
室内で飼っている場合、家具や飼育ケージの固定・転倒防止・落下防止を行っておきましょう。
また、ペットが逃げ込める場所を作っておくことも重要です。地震対策を講じた一室や、押入れ用家具を固定・補強した押入れの下段のスペースなどです。
屋外で飼っている場合は、周囲にブロック塀やガラス窓・倒れやすい建物など、破損や倒壊の恐れのあるものがないか、土砂崩れの危険性はないかなどを確認しておきましょう。
さらに逸走防止のために、ワンちゃんの場合には首輪や鎖が外れたり切れたりして逃げ出す恐れがないかを確認しておきましょう。
【(2)しつけと健康管理】
しつけは、災害時、とくに避難時に地域社会に受け入れられるために行っておきましょう。
ワンちゃんに「待て」「おいで」「お座り」「伏せ」などの基本的なしつけをされている方は多いと思います。防災という観点ではそれらに加えて、必要に応じてケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておくことが大切です。これはネコちゃんの場合も同様です。
また不必要に吠えない、人や他の動物を怖がったり攻撃的になったりしないように慣らしておく、決められた場所で排泄ができるようにすることも大切です。
各種ワクチンの接種、犬フィラリアやノミダニなどの寄生虫の予防・駆除、シャンプーやトリミングにより身体を清潔に保つ、不妊去勢措置を行うことも重要です。
【(3)行方不明にならないための対策】
災害発生時、ペットがびっくりして逃げ出してしまったりしたときに備えて、マイクロチップなどにより所有者情報を明示しておきましょう。
ワンちゃんの場合は、狂犬病予防法に基づき「鑑札」という自治体が発行する登録の証明と、「狂犬病予防注射済票」を装着する義務があります。マイクロチップは、公益社団法人日本獣医師会などに飼い主情報や動物情報の登録を行います。
以上が、飼い主さんにお伝えしたい対策の概要です。
ぜひこの機会に、大切なペットとの暮らしのための備えを実践してみてください。
1)環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002/0-full.pdf