ライフステージ③中高齢期、高齢期はいつから?

  • ライフステージ
2015/11/19

【中・高齢になった犬と猫の身体の変化 〜老化のサイン〜】

老化は目に見えにくい部分(例えば、免疫力や内臓機能の低下など)から徐々に始まるため、飼い主さんが愛犬・愛猫の変化を実感しにくく『うちの子はまだまだ若くて元気』と考えがちです。その結果、愛犬・愛猫に明らかな体の衰えや病気が現れてから、初めて高齢になったことに気が付く飼い主さんがとても多いのです。このようにならないよう、中・高齢期になったら定期的に健康診断を受けて病気の早期発見・予防を心がけましょう。
下の項目がひとつでもあてはまったら、既に身体の中では老化が進行している可能性があります。

また、中・高齢期になると、筋肉が減少する「サルコペニア」がみられるため、筋肉量の維持に配慮してロイシンなどのアミノ酸を積極的にとることが推奨されます。犬では歯周病などが原因で歯が抜けたり、猫では免疫力の低下などにより口内炎がみられたりします。若いうちからデンタルケアを習慣づけること、また、口腔内の衛生に配慮したフードを与えるようにしましょう。 

▶︎バリン・ロイシン・イソロイシン
▶︎ポリリン酸ナトリウム

【高齢の犬と猫に必要な栄養管理と食事】

また、高齢期に最適なフードを選ぶことも、元気な高齢期を過ごすために飼い主さんがしてあげられることのひとつです。
高齢期用フードというと『栄養成分が控えめで、パサパサしたフード』という良くない印象をもたれる飼い主さんがいらっしゃいます。しかし実際は、加齢による身体の変化に合わせて、消化率やエネルギー量を高めたり栄養成分を増減したりするなど、さまざまな調整をしています。

【高齢の犬や猫のための栄養バランス】

●カロリーの調整

犬と猫は高齢になると運動量が減少し太りやすくなるため、カロリーを控えめにした食事が適しています。しかし、さらに歳をとると消化吸収能力が低下しはじめ、逆に体重が減少する傾向があります。このような変化に合わせ、カロリーを調整し消化吸収の良いフードを与えることが大切です。

●抗酸化成分を強化

抗酸化成分とは、身体にとって有害に働く物質であるフリーラジカルの影響を抑える物質です。主な抗酸化成分として、「ビタミンE」「ビタミンC」「タウリン」「ルテイン」があります。これらの抗酸化成分は、それぞれ働きが違うため、組み合わせて摂取することで相乗的に働きます。

●リンを制限

ミネラルのひとつであるリンは、身体にとって大切な栄養素です。しかし、高齢の犬と猫では、血液中にリンが多くなると腎臓に負担がかかります。そのため、高齢になった犬と猫のフードは、成犬・成猫用のフードと比べ、リンの量を制限する必要があります。

今回はライフステージに合わせた食事のお話をしてきましたが、犬と猫、そして人も基本的な考え方は同じです。家族に赤ちゃんがいる場合は、より消化の良い食事を与えたり、お年寄りがいる場合は、少し塩分を控えめにするなど、ライフステージごとの適切な食事と優しい心遣いが、健康で長生きする一生につながります。
食事はお薬ではないため、変えてすぐに何か変化が起きるわけではありません。しかし、毎日の積み重ねですから健康を維持するためにとても大切です。『おいしそうに食べているし元気そうだからずっと今のフードでいいわ』と思っていらっしゃる飼い主さんも、本当にそのままでいいか見直してみましょう。動物病院で相談すると、今の体型や健康状態も見ながら最適な食事を判断してもらえるので、よりおすすめです。

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