ワンちゃんやネコちゃんにとっての美味しさとは?

  • 嗜好性
2021/05/21

「愛犬・愛猫に美味しいフードを食べさせてあげたい。」
飼い主さんなら誰しもそう考えるのではないでしょうか。でも、ワンちゃんやネコちゃんにとって本当に美味しいフードがどのようなものかご存知でしょうか。
実は、人にとっての美味しさと、ワンちゃんやネコちゃんにとっての美味しさとはずいぶん違うのです。

人とは違う、ワンちゃんやネコちゃんの嗜好性

人は美味しさを主に「味」で判断しています。では、ワンちゃんやネコちゃんも人と同じように、美味しさを味で判断しているのでしょうか。
ペットフードにも「〇〇味」と書かれたものがありますよね。とくにキャットフードでは「マグロ味」「白身魚味」「チキン味」などさまざまなバラエティーがあります。やはり味や素材が大切なのでしょうか。
舌の上には、味を感じる「味蕾(みらい)」という組織があり、甘味・苦味・酸味・塩味・旨味の5種類を感じることができます。人はこの味蕾が舌の上に約9,000個あるのですが、ワンちゃんは約1,700個、ネコちゃんは約500個しかありません。また、ネコちゃんには甘味を感じる味蕾がなく、甘味を感じません。1)
つまり、ワンちゃんやネコちゃんの味蕾は、美味しさ味わうためのものというよりは、毒などの危険なものを察知して避けるためのものだと考えられます。よく「ネコちゃんはグルメ」といわれますが、実は味そのものにはあまりこだわっていないのです。

それでは、ワンちゃんやネコちゃんは何で美味しさを判断しているのでしょうか。 それは主に「匂い」です。ネコちゃんの嗅覚は人の数万~数十万倍、ワンちゃんにいたっては数百万~一億倍もあるといわれています。まず匂いを嗅いで、口に入れるかどうかを判断しているのです。
ただし匂いについても、必ずしも人が美味しそうだと感じる匂いを犬や猫も同じように美味しそうだと感じているとは限りません。人にはきついと感じる匂いを好むことも少なくありません。匂いを嗅いだ後に、実際に口に入れるときに大切なのが「大きさ」と「形」です。
形といっても見た目の形ではなく、捉えやすさや食感が重要です。顎の形状や品種ごとの食べ方に応じて、食べやすい形に工夫してあげることも必要です。骨やハートの形をしたドッグフードをワンちゃんやネコちゃんが見ても、それで食欲が増すことはありません。

嗜好性と栄養バランス

今まで好んでいたフードも、ある日食べなくなってしまった、という経験はありませんか?食べ飽きに大きく影響するのが、フードの栄養バランスです。
とくにネコちゃんは、タンパク質が十分に含まれていないフードはすぐに食べ飽きてしまいます。例えば、ネコちゃんが好きな風味の低タンパク質のフードと、嫌いな風味の高タンパク質のフードをそれぞれ与えてみると、最終的には嫌いな風味の高タンパク質のフードを選ぶようになります。
このように、ワンちゃんやネコちゃんにとっての美味しさは人が思う美味しさとはずいぶん違っており、味や素材・見た目ではなく、匂いや形、食感、栄養バランスが重要です。
当たり前ではありますが、人とワンちゃん・ネコちゃんは違う動物です。フード選びも人の感覚ではなく、ワンちゃん・ネコちゃんの立場で考えるようにしましょう。

参考文献

  • 1)Li X, Li W, Wang H, Cao J, Maehashi K, Huang L, Bachmanov AA, Reed DR, Legrand-Defretin V, Beauchamp GK, Brand JG. Pseudogenization of a sweet-receptor gene accounts for cats' indifference toward sugar. PLoS Genet. 2005 Jul;1(1):27-35.

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