猫の気まぐれな食欲の秘密①猫がごはんを食べない原因

  • 食事
2021/02/26

猫を飼っているみなさん、「猫が急にいつものごはんを食べなくなった」「突然違うフードを欲しがるようになった」という経験はありませんか?
実は、猫の飼主さんのうち 90%以上が、このような猫の気まぐれな食欲に悩んだ経験があるといわれています。

どうして食べてくれないのか、理由が分からず不安になってしまいますよね。
みなさんは、これに猫の習性が大きくかかわっていることをご存知でしょうか。

猫が食事をしないのには、大きく分けて「食べ飽き」と「食べムラ」が関係しています。 今回のコラムでは、この「食べ飽き」「食べムラ」それぞれの特徴についてお話しします。

■猫の個性によって起こる「食べムラ」

まずは「食べムラ」の原因についてお話ししていきます。
ときどきいつもと違うフードが食べたくなってしまう、そんな「食べムラ」には、猫の「ネオフィリア」という習性が関係しています。
ネオフィリアとは、新しいものを好む性質のこと。猫は、新しい食べものに対して好奇心(ネオフィリア)と警戒心の両方を持っていますが、好奇心の方が強く働いたとき、それまで食べていたものを食べなくなってしまうのです。

興味が違うフードへ移ったというだけなので、それまで食べていたフードを嫌いになったわけではありません。

また、食事に対して警戒心がより強く働く場合もあります。
ストレスを感じる状況下では初めて出されたフードを食べようとしない「ネオフォビア」という習性や、食べた後に嘔吐するなどの良くない経験をすると、その後そのフードを食べなくなる「食物嫌悪症」がみられることもあります。そのため、フードにお薬を混ぜたり、新しいフードを試したりするときには注意が必要です。

■フードの栄養成分によって起こる「食べ飽き」

猫がごはんを食べない、その大きな原因のもう一つは「食べ飽き」です。
食べ飽きとは、猫が本能的に求める栄養バランスでないフードに対して、最初はよく食べていてもやがて飽きてしまう、という現象です。

なぜ、特定の栄養バランスでなくてはならないのでしょうか?

それは、猫がもともと単独で狩りをする動物だからです。
自分の食べものは自分で捕まえるため、いつでも狩りができる状態でなくてはなりません。俊敏に動くために胃の容量も小さく、一日を通して少しずつ何度も食事をします。そのため、猫は生きていくのに必要のない栄養成分でおなかを満たす余裕がなく、きちんと自分に必要な栄養バランスの食事を見分ける能力があるといわれています。

実際にフードを与えてみて、最初はよく食べていたとしても、そのフードの栄養バランスが適切でないと、やがて食べなくなってしまいます。

以上2つが、猫がごはんを食べないときに関係してくる、大きな要因でした。 「気まぐれ」のひとことで片付けられる猫の食欲にも、このような背景があったのですね。
次回のコラムでは、「食べ飽き」が起こりにくくなる栄養バランスとはどんなものか、そして病気の予防や治療に役立つ「療法食」を食べ飽きさせないためにどうしたらよいかをお話ししていきます。

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