多くの飼い主さんが、ペットの体にも良いものを食べさせてあげたいと思っていることでしょう。また、テレビやインターネットなどでは健康に良い食品の情報が溢れています。
ただ、これらの情報の中にはワンちゃんやネコちゃんには当てはまらないものもありますので注意が必要です。
血液をサラサラにする「タマネギ」
タマネギには、血液をサラサラにする作用があって健康に良いといわれています。
タマネギには「アリシン」という成分が含まれており、タマネギを切ったときに目にしみて涙が出るのはこのアリシンが原因です。アリシンはタマネギ以外にもネギやニンニクにも含まれています。アリシンには血液が固まるのを抑制して血液をサラサラにし、高血圧や動脈硬化などを防ぐ働きや抗菌作用などがあるため、健康に良いといわれているのです。
ところが、このアリシンが分解されると「二硫化アリル」という成分が生成されます。この二硫化アリルは、ワンちゃんやネコちゃんの体に入ると血液中の赤血球を破壊して、貧血を起こす原因になります。1)
「タマネギ中毒・ネギ中毒」についてはご存知の方もいらっしゃると思います。この「タマネギ中毒・ネギ中毒」の原因が二硫化アリルです。ワンちゃんやネコちゃんにはタマネギやネギ、そしてネギ類と一緒に調理したものも与えないように気をつけましょう。
森のバター「アボカド」
アボカドは不飽和脂肪酸を多く含むことから「森のバター」と呼ばれ、ビタミンEをはじめビタミンB1、B2、B6などのビタミンや鉄分などのミネラルを豊富に含み、美容に良いといわれています。サラダなどに利用している方も多いでしょう。
しかし、アボカドには「ペルシン」という成分が含まれています。ペルシンは人には無害なのですが、人以外の動物には毒性があります。人以外の動物がペルシンを摂取すると、嘔吐・下痢・呼吸困難などの症状を引き起こします。2)
アボカドも健康に良さそうなイメージがありますが、ワンちゃんやネコちゃんにとっては危険な食品なのです。
人とワンちゃんネコちゃんは違います
今回紹介したタマネギ・アボカド以外にも、人の健康維持に良いといわれている食品の中には、ワンちゃんやネコちゃんにとっては中毒を起こすなどで逆に健康を損ねるようなものもあります。 ワンちゃんやネコちゃんは家族の一員ですが、人とは違う生き物であることも事実です。良かれと思って人の感覚をそのままワンちゃんやネコちゃんに当てはめると、危ないこともあります。ぜひ、ワンちゃんやネコちゃんの目線でも健康について考えてみてください。
参考文献
- 1) Cortinovis C, Caloni F. Household Food Items Toxic to Dogs and Cats. Front Vet Sci. 2016 Mar 22;3:26.
- 2) Kovalkovičová N, Sutiaková I, Pistl J, Sutiak V. Some food toxic for pets. Interdiscip Toxicol. 2009 Sep;2(3):169-76.