Royal Canin

皮膚疾患

皮膚疾患の原因はアレルギーとは限りません。

皮膚疾患の原因は様々です。丈夫な皮膚をつくり、しっかりとした皮膚バリアをつくることが必要かもしれません。

皮膚のはたらき

まずは皮膚のはたらきから見てみましょう。

皮膚は全部集めると小型犬では体重の約20%の重さをしめる、とても大きな組織です。皮膚はバリア機能を持っていて、水分を保ったり、刺激や細菌などから体を守ってくれています。
しかし、何らかの原因で、このバリア機能が低下すると、細菌などが体の中に入りこんで炎症を起こしたり、水分が保てず、皮膚が荒れたりとさまざまな問題を引き起こします。

皮膚のバリア機能

皮膚のバリア機能は常に新しい皮膚を作っていくことで維持されています。人の場合は約28日、犬や猫の場合は約21日で皮膚の古いものと新しいものとの入れ替わり(ターンオーバー)が行なわれています。

犬と猫の代表的な皮膚疾患

犬や猫の皮膚疾患とひと言でいってもその原因はさまざまです。
原因が異なれば対処法も変わってきます。

膿皮症

膿皮症

傷、老化、栄養の偏りなどの原因によって、皮膚の抵抗力が低下し、皮膚の中にブドウ球菌などの細菌が増えて皮膚に発疹(ぶつぶつ)ができてかゆがる、膿が出る、といった症状がみられます。他の病気が引き金となって起こることもあります。皮膚のバリア機能が低下し、他の皮膚病を併発しやすくなります。

治療

皮膚を清潔に保つためにシャンプーを行い、細菌の増殖を抑えるために抗生物質を使うなどの治療が行われます。

脂漏症

脂漏症

皮膚や被毛が油っぽく、体臭がひどくなるもの(油性)と、皮膚が乾燥して異常にフケが増えるもの(乾性)があります。そのため皮膚のバリア機能が低下し、他の皮膚病を併発しやすくなります。原因はホルモン分泌の異常や遺伝的なものなどであるといわれています。

治療

シャンプーや原因となるホルモンの治療が行われます。

心身症による皮膚炎

心身症による皮膚炎

新しい家族の出現による環境の変化など、こころの問題が原因となって起こる皮膚炎のことを指します。一箇所または数箇所の特定のところを激しく舐めることが見られます。

治療

ペットにとってストレスとなっていることを調べ、取り除いてあげます。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎とは、アレルギーによって起こる皮膚炎の一種で、遺伝が関係すると考えられていますが、はっきりとした原因はよく分かっていません。犬アトピー性皮膚炎の場合、複数のアレルゲンに反応するため、いくつかのアレルゲンを取り除いても他のアレルゲンがあれば発症してしまいます。

治療

抗アレルギー剤の使用、保湿剤によるスキンケア、湿疹などの皮膚炎症への対応などの治療が行われます。

犬アトピー性皮膚炎に関連した、栄養性皮膚疾患になりやすい犬種

シーズー、ウエストハイランド・ホワイトテリア、ラブラドールレトリバー、
ジャックラッセル・テリア、ブルテリア、ジャーマンシェパードなど

食物アレルギー

食物アレルギー

特定の食べ物が原因となって起こるアレルギーを指します。下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどが起こります。

治療

食物アレルギーのための療法食を与えます。

疥癬(かいせん)

疥癬(かいせん)

小形のダニ(ヒゼンダニ、キュウセンヒゼンダニ)による皮膚炎を指します。強いかゆみと脱毛がみられます。

治療

薬浴、殺ダニ剤の使用などの治療が行われます。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミの唾液が原因で起こるアレルギー性皮膚炎を指します。腰やおしり周辺などノミが好む場所に発疹やかさぶたができ、激しいかゆみがみられます。

治療

ノミの駆除とかゆみを抑えるための治療が行われます。

内分泌性皮膚炎

内分泌性皮膚炎

ホルモンの分泌異常によって起こる皮膚疾患を指します。脱毛があってもかゆみがないことが多くみられます。

治療

ホルモン剤の投与などの治療が行われます。

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎

洗剤、殺虫剤などや漆、ドクツタなどアレルギー性物質と直接接触することによって起こる皮膚炎を指します。起こりやすい場所は、被毛が少ない部分、肘、指の間などです。

治療

原因物質を調べ、その物質と接触させないようにします。

皮膚疾患の食事管理について

健康な皮膚を維持するために、小型犬や猫では体にとり入れた栄養素(タンパク質)の約30%が利用されています。皮膚疾患の場合、皮膚細胞の健康をサポートするために、皮膚疾患に配慮した食事療法食を与えることが必要です。
皮膚疾患を食事(フード)以外の方法で治療する場合でも、健康な皮膚に生まれ変わるためには、栄養学的にバランスの取れたフードを与えることが非常に大切です。

療法食のポイント

皮膚疾患に用いられる食事療法食は下のような点に配慮してつくられています。

  • 食物アレルギーの原因となりにくい原材料を厳選して使用しています。
  • 消化性を高く設計しています。
    例:加水分解されたタンパク質アミノ酸など

消化がよければすぐに分解され、分子が小さくなり、アレルギーに関わる免疫細胞に認識されにくくなります。

療法食のポイント
  • 皮膚の健康をサポートする栄養素をフードで補うことに配慮しています。

おやつについて

治療をサポートするためにも、原則的におやつを与えることはがまんしましょう。

おやつは禁止!

食事療法食でせっかく調整された栄養のバランスを崩してしまうおそれがあるので、原則的におやつはがまんしてください。
どうしても与えたい場合は獣医師に相談してみましょう。

人と犬や猫の必要とする栄養素のバランスは異なります。そのため、人と同じごはんやおやつばかり与えていると、皮膚の状態に好ましくない影響を与える場合があります。

人と犬と猫の必要栄養素量の比較

体重1kgあたりの人と犬と猫の1日に必要な栄養量の比較グラフ

人にとってパーフェクトにバランスのとれた食事があるとします。この食事を犬や猫に与えても、まったく、バランスのとれていない食事になってしまうのです。

栄養量の比較グラフ

症状が快方に向かったら…

状態が改善された後も、健康な皮膚を維持するための食事(フード)について、獣医師に相談してみましょう

皮膚は食べ物で作られているので今後も皮膚の健康を考慮した食事を続けることが大切です
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