栄養成分名
L-カルニチン
分類:アミノ酸(非必須)
基本情報/一般的な供給源
体内での働き
- ●脂肪酸代謝とエネルギー産生に関わる。体内でのエネルギー産生は細胞のミトコンドリア内で行われる。そのミトコンドリア内に材料となる脂肪酸を運び入れて脂肪を燃焼させるのがL-カルニチンの役目である。

【体重管理】
- ●脂肪を燃焼させてエネルギーを産生するためには、筋肉に適切なレベルのL-カルニチンが必要となる。L-カルニチン投与により、軽度肥満傾向のヒトで脂肪燃焼が促進した(Wutzke 2004)、成長期の犬や成長期の猫で脂肪からのエネルギー変換を促進し、筋肉量を維持した(Gross &Zicker 2000, Ibrahim 2003)という報告がある。
【心臓】
- ●L-カルニチン欠乏と心臓病との関連が示されているが、カルニチン欠乏が疾患の原因なのか、罹患後に二次的に欠乏しているのかは今のところ分かっていない。
- ●人の心臓病患者でL-カルニチン補給による生存率の改善報告がある(Rizos 2000)。犬の研究でも、タウリンとL-カルニチンの補給により、心臓のエコーの測定値などに改善が見られたという報告がある(Kittleson 1997)。
【肝臓】
- ●L-カルニチンの代謝は主に肝臓で行われているため、慢性肝疾患時には、障害を受ける可能性がある。
【その他】
- ●種によっては生殖においても重要な役割を持っており、妊娠期および成長期のL-カルニチン補給が新生児の体重や産子数の増加につながる。
フードにおいて期待される役割
- 【脂肪燃焼のサポート】
- ●体重管理:肥満傾向にある個体の減量促進を目的として。L-カルニチンを含むフードを給与した猫は、目標体重を達成する率が高い(Center 2000, 2012)、犬で体重減少を促し、筋肉量の維持を促進する(Sunvold1998, Caroll & Cote 2001)などの報告がある。
- ●心臓のサポート:心筋中の欠乏を防ぐあるいは心筋へのエネルギー供給などを期待して(Kittleson 1997)。
- ●肝臓のサポート:肝性脳症および猫の肝リピドーシスに対する保護的な効果を期待して。
- ●成長期、妊娠・授乳期、および競技犬や使役犬に。脂肪をエネルギーとして効率よく使うため。
- ●その他:糖尿病などの疾病時にエネルギー代謝の向上と、その結果筋肉量の維持を促すこと等を期待して。

過剰/欠乏
- ●L-カルニチン欠乏と原発性心臓病との関連が人で報告されている。
- ●犬種によってはボクサー、ドーベルマン、コッカースパニエルなど体内のL-カルニチン生成不足が深刻な心臓疾患につながるケースがある。