腎臓にはネフロンと呼ばれる構造がたくさんあり、ひとつひとつのネフロンが尿を生成している。ネフロンの数は猫では両方の腎臓で約40万個、犬では犬種にもよるが両方の腎臓で約80万個ある。
腎臓の重要な働きのひとつに、身体のいらないもの(老廃物)を尿として体の外に捨てる(排泄する)ことがある。
慢性腎臓病とは
年齢とともにさまざまな原因でネフロンがダメージを受けて減少し、やがて正常な腎機能を維持できなくなることを慢性腎臓病という。年齢とともに発生が増え、12歳以上の猫の約30%が慢性腎臓病であるとの報告がある(Lulich 1992)。
ダメージを受けたネフロンは修復することができないため、慢性腎臓病は治すことができない。また症状があらわれにくく、血液検査で発見されるときにはすでに腎臓の機能の3分の2が失われている。
このためできるだけ早期に発見して治療を行い、病気の進行を遅らせることが大切である。

慢性腎臓病と食事
慢性腎臓病において、食事療法は最も重要な治療のひとつである。腎機能が低下し、身体から排泄できなくなったリンは、腎臓にさらにダメージを与える。
慢性腎臓病の犬と猫に、リンを制限した食事を与えると生存期間が長くなるということが証明されており、食事中のリンを減らすことは特に重要である。また、尿毒症の症状や腎臓への負担を減らすために、タンパク質の制限が必要となる。
食欲不振となりエネルギーが不足すると、身体は筋肉などのタンパク質からエネルギーを作ろうとするため、尿毒症が進行する。エネルギー不足にならないよう配慮することも大切である。
EPA/DHAや抗酸化成分には、残っている腎臓を保護する作用が期待される。また、慢性腎臓病では便秘が併発することがある。便秘には、食物繊維(サイリウム)が有用である。


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