コラムページ『ワンちゃん・ネコちゃんの健康を腸から整えよう!②腸活のすすめ』を更新致しました。
タンパク質(アミノ酸)
タンパク質は体を作る以外にも酵素として体の調子を整える。また、犬猫にとっては重要なエネルギー源となる。
タンパク質とは
タンパク質はアミノ酸と呼ばれる成分が鎖状に繫がってできたものである。タンパク質のもとになるアミノ酸は約20種類だが、繫がり方の違いによって様々な種類のタンパク質となる。

タンパク質の供給源
ペットフードに使われるタンパク質の原材料は大きく二つに分けられる。それぞれの原材料に含まれるタンパク質の量や、アミノ酸のバランスに合わせてタンパク源を決定する。

以前は動物性タンパク質は植物性タンパク質よりも犬や猫が消化吸収しやすく良質と考えられていたが、食品の加工技術が進んだ現在では、植物性タンパク質でも十分に消化吸収が可能となっている。
そのため原材料は、栄養成分を供給するためのあくまで「手段」であり、それが肉由来か植物由来かということは昔ほど重要ではなくなっている。つまり、最も大切なことは「○○由来の原材料をペットに供給すること」ではなく、最終的に犬や猫が必要とする栄養バランスをきちんと満たしているか、という点にある。
大事なのは使われている原材料ではなく、ペットフードに含まれる栄養素のバランスである。
タンパク質の消化性
タンパク質は原材料のまま使用するよりも、加工をすると消化性が格段に向上する。例えば、大豆そのものを食べるよりも、大豆を加工して使った豆腐を食べる方が、より消化性が高い(図)。ペットフードの原材料においても、肉類、大豆、小麦などの原材料から、タンパク質を取り出す加工をすると、消化率は90%以上まで向上する。この超高消化性タンパク(L.I.P.)は、特に消化性を考えてあげたい時にフードに配合される。

タンパク質の消化と吸収
タンパク質は胃や小腸から分泌される消化酵素の働きで鎖状の繫がりが切られ、バラバラのアミノ酸まで分解されて小腸から体内に吸収される。

タンパク質の栄養素としての役割
吸収されたアミノ酸は体内で元の食事に含まれていたタンパク質とは違う、犬や猫の体を構成するためのタンパク質などに作りかえられる。肉食動物の猫や、肉食に近い雑食性動物の犬にとって、タンパク質(アミノ酸)はエネルギー源としてもとても重要なものである。

必須アミノ酸
タンパク質を作る約20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できないため、必ず食事から摂取しなければいけないアミノ酸があり、これを「必須アミノ酸」と呼ぶ。必須アミノ酸の種類や数は動物によって異なり、人間は9種類、犬は10種類、猫は11種類である。

犬と猫では必須アミノ酸の種類と数が異なる。
タンパク質の積極的な摂取が推奨される場合
【減量時および適正体重の維持】
- ●筋肉の維持を目的として。
- ●満腹感の持続を期待して。
【皮膚や被毛の健康維持】
- ● 皮膚や被毛を作る原材料として※
※小型犬および猫において、1日必要摂取量のタンパク質の最大30%が、皮膚および被毛の維持に必要なケラチンの合成に使われる。
➡ 関連:メチオニンおよびシスチン
【筋肉の成長および維持】
- ●成長期の骨や筋肉の成長に。
- ●高齢期の筋肉減少を予防するため※。
- ●心臓病やがんによる悪液質の際の筋肉減少を予防するため。
※高齢期疾患への配慮との兼ね合いにより、量と消化率の調整が必要となる。
タンパク質の積極的な制限が推奨される場合
【慢性腎臓病】
- ●腎臓への負担と尿毒症の症状の軽減のため(病気のステージによる)。
【重度の肝臓病で、高アンモニア血症や腹水がみられる場合】
- ●アンモニアのもととなるタンパク質を制限する※。
※ただし上記以外の場合には肝臓の再生のために適度なタンパク質の摂取が必要となることがある。