梅雨が明ければいよいよ夏も本番。日本の夏は高温多湿のため、ワンちゃんネコちゃんにも皮膚のトラブルが比較的多いといわれています。
そこで今回から、皮膚についての豆知識をご紹介していきます。
さて、ワンちゃんネコちゃんが皮膚を痒がる原因には、どんなものがあるでしょうか?
【皮膚を痒がる原因=アレルギー?】
ワンちゃんネコちゃんが身体を痒がっていると、多くの飼い主さんは『うちの子はアレルギー(特に食物アレルギー)かもしれない」と、考えるようです。
食物アレルギーは、食事に含まれるタンパク質が原因となり引き起こされるアレルギーですが、本当に皮膚病の原因として最も多いのでしょうか?
【実は少ない「食物アレルギー」】
日本の皮膚科学を代表する学会である「第103回日本皮膚科学会」の総会で、非常に興味深いデータが発表されました。
その内容とは、1,407頭のワンちゃんを対象に皮膚病の原因について調査したところ、アレルギーによる皮膚病の割合は14%だったということです(図1)。
さらに、アレルギーの内訳を見てみると、59%が
食物アレルギーはアレルギー性皮膚炎の原因として重要な要因のひとつではありますが、その割合はすべての皮膚病の中でわずか2%にも満たないのです。

痒がっているワンちゃん・ネコちゃんを動物病院に連れて行くと、アレルギー用フードを処方されることがあります。
もしこのごはんを食べて皮膚症状が良くならない場合、多くの飼い主さんは「このフードは効果が無い。このフードをあげても無駄だった」と思うかもしれません。
しかし実はこの結果は、治療のための重要な手がかりとなるため決して無駄ではありません。
獣医さんは痒みの原因を絞り込み、そのワンちゃん・ネコちゃんにより適した治療ができるようになるからです。
今回は皮膚病の原因についてお話ししましたが、どんな皮膚病であったとしても、皮膚の状態を健やかに保つためには『皮膚のバリア機能を保つこと』が鍵となります。
そこで次回からは、皮膚が持つバリア機能とそのために必要な栄養素についてお話ししたいと思います。