Royal Canin

食物アレルギー

長引く下痢は、食物アレルギーが原因かもしれません。

食物アレルギーは皮膚だけでなく、食物と直接触れる消化管でも炎症を起こし、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。

犬と猫のアレルギーとは

体の中に存在する「自分のもの」と「自分のものでないもの」を区別して、自分の命を脅かすおそれがある異物、細菌、ウイルスなどを排除するはたらきを免疫反応と呼びます。免疫反応では体が「抗体」という武器のようなものをつくりだしてウイルスなどの敵を排除して自分の体を守っています。この戦いの過程で炎症が起こります。免疫反応は私たち人間やさまざまな生き物が生きていくためにとても大切なはたらきです。

アレルギーは、この免疫反応が、たとえば花粉など、体にとって大して問題にならない相手に対しても起こってしまい、炎症が起こることを言います。
アレルギーと聞くと皮膚の病気(かゆがる、皮膚が赤くなる、皮膚炎等)を連想する方も多いと思いますが、皮膚の症状以外にも鼻炎や下痢などさまざまな症状を引き起こします。

犬と猫のアレルギーとは

アレルギーの原因となるもの(アレルゲン)には、ノミ、ダニ、花粉、食べ物などさまざまなものがあります。アレルギー性の皮膚炎のなかで最も多いものが犬アトピー性皮膚炎となっています。食物アレルギーは食べ物が原因でおこるアレルギーのことですが、実はアレルギー全体から見ると、純粋に食物が原因のアレルギーはあまり多いわけではありません。犬アトピー性皮膚炎の約50%は食べ物に対するアレルギーも併発していると考えられています。

犬と猫のアレルギーとは

食物アレルギーが引き起こす症状

食物アレルギーで見られる症状

食物アレルギーによって起こる症状は下痢や嘔吐、皮膚炎などがあります。

食物アレルギーで見られる症状

食物アレルギーが疑われる兆候

1歳までに発症した、うんちの回数が多い、季節に関係なくかゆがる、口や目のまわり、背中などに炎症がある、などの徴候がみられる場合は食物アレルギーが疑われます。

食物アレルギーが疑われる兆候

犬と猫の食物アレルギーの原因は?

食物アレルギーの場合は、食べ物に含まれるタンパク質が主な原因といわれています。ただ、どのタンパク質質が原因なのかは犬・猫1頭1頭それぞれで異なります。

食物アレルギーで見られる症状

犬と猫のアレルギーの対処方法

アレルギーの対処方法の基本は身のまわりからアレルゲンを取り除くことです。たとえば、ダニが原因であるアレルギーであればダニのいない清潔な環境に整えること、食物アレルギーであれば、アレルゲンとなっている物質を含まない食事を与えるのが一番の対処方法となります。

食物がアレルギーの原因となる例は実は少ないのですが、アレルギーは複数の原因がかさなって起こっている場合もあるため、食事以外が原因のアレルギーと診断された場合でも、フードを変更することで症状がよくなる場合も多くあります。

食物アレルギーの食事管理について

食事管理は獣医師の指導のもと継続して行いましょう。

食物アレルギーは、食べ物が原因となっておこるアレルギーですから、基本的にはその原因となっている食べ物(特にタンパク質)を与えないことが大切です。具体的には、今まで食べたことのないタンパク質を選ぶことになります。その際、できるだけ消化性の高い良質のタンパク質を、できるだけ種類を限定して与えます。このような食物アレルギーの犬・猫のためにタンパク質を限定した食事療法食は「除去食」とも呼ばれています。
すべてのタンパク質がアレルゲン(アレルギーの原因)になる可能性があるのですが、消化性のよいタンパク質であればすぐに消化、分解され、小さい分子になるため、免疫システムが反応しにくくなります。ですから、最近ではあらかじめ、ある程度消化・分解(加水分解)したタンパク質を使用し、よりアレルギーの原因になりにくい食事も開発されています。
食事アレルギーの食事管理は、一生のおつきあい。獣医師の指導のもと、継続して行いましょう。

食事療法食のポイント

食物アレルギーに用いられる食事療法食は下のような点に配慮してつくられています。

  • 食物アレルギーの原因となりにくい原材料を厳選して使用しています。
  • 消化性を高く設計しています。
    例:加水分解されたタンパク質など

消化がよければすぐに分解され、分子が小さくなり、アレルギーに関わる免疫細胞に認識されにくくなります。

食物アレルギーで見られる症状
  • アレルゲンの侵入を考慮して、腸と皮膚が本来持つバリア機能の健康に配慮しています。

リスクの少ないタンパク源とは

①今までに摂取したことがないもの

食物アレルギーは初めて食べたものに対しては起こらないため、今までに食べたことのないタンパク源(原材料)を使っているものを与えることが有効です。

②消化吸収がよいもの

消化がよいタンパク質は体の中で小さい分子に分解されていきます。このため、アレルゲンとして体に認識されにくいのです。

例:
  • 新奇タンパク食(今までに食べたことのないタンパク質で作られた食事)
  • 加水分解タンパク食
  • アミノ酸オリゴペプチド食

食物アレルギー治療中の約束

  1. おやつ、ヒトの食べ物は与えないようにしましょう。
  2. せっかく食物アレルギーに対応した療法食でタンパク質の種類を限定しているのに、おやつやヒトの食べ物を与えてしまうと、与えるタンパク質の種類を限定することができなくなってしまいます。療法食以外は何も与えないようにしましょう。

    おやつ、ヒトの食べ物は与えないようにしましょう。01

    家族のなかで知らない間におやつやヒトの食べ物を与えてしまっている人がいないように、家族全員におやつやヒトの食べ物をあげてはいけないことを知らせ、守ってもらうようにしましょう。また、拾い食いにも注意しましょう。

    おやつ、ヒトの食べ物は与えないようにしましょう。02
  3. 療法食の使用を勝手にやめないようにしましょう。
  4. 基本的にアレルゲンとなってしまった食べ物は生涯ずっとアレルゲンであり続けるため、療法食は生涯ずっと続けていく必要があります。また、皮膚が新しく生まれ変わるには1ヵ月くらいの時間が必要なため、治療を始めてから変化が見られるまで少なくとも1 ~ 2ヵ月程度はかかります。まずは獣医師が選んだ療法食を続けてワンちゃんネコちゃんの様子を観察しましょう。

    おやつ、ヒトの食べ物は与えないようにしましょう。03
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ご自身のワンちゃん・ネコちゃんで気になることがあったら、必ず動物病院で受診しましょう。