高齢犬・高齢猫のためのペットフードの選び方

2017/04/11

犬も猫も人間と同じく、年をとると身体のさまざまな機能が低下し、病気にかかる確率も高くなります。
今回は、犬や猫が老化と共にかかりやすくなる病気と体型の変化、そして中・高齢期用のフードについてお話していきます。

【老化と共にかかりやすくなる病気】

犬と猫にも、老化に伴って、発症率が高くなる病気がいくつかあります。

グラフからも分かるように、12歳(人で約64歳)を過ぎた猫の、10頭に9頭が骨や関節の病気に、3頭に1頭が腎臓の病気にかかっている、と報告されています。

また、これらの病気にかかったとしても、初期段階では目立った症状がなく、飼主さんには判断が難しいことがあります。 飼主さんの気付かないうちに症状がどんどん悪化することも。

病気を早く見つけられるよう、5歳を過ぎたころから、1年に2回程度の健康診断を心がけましょう。

【ペットフードも変えるべき?】

シニアの犬・猫と暮らしている飼主さんで「まだまだ元気だし、いまのフードもおいしそうに食べているから、フードを変える必要はないのでは?」と考えている飼主さんもいるかと思います。

しかし、以前のコラム『ライフステージ③中高齢期、高齢期はいつから?』でもお伝えしたように、老化は目に見えにくい部分から始まります。
ですから、愛犬、愛猫が中・高齢期に入った段階で、身体の衰えや病気が目に見えてあきらかでなくても対策をはじめてあげることが大切です。
下記の年齢になったら、フードも、愛犬・愛猫の変化に合ったものを選んであげたいですね。

【成犬・成猫用のフードとの違いは?】

老化にともなう身体の変化によって、積極的にとらせてあげたい栄養成分、減らしたほうがいい栄養成分があります。
中・高齢期用のフードは、健康をサポートするためにそれらの栄養成分が調整されています。

中・高齢期用のフードで特に調整されている成分をいくつかご紹介します。

そのほかにも高齢期用のフードは、成犬、成猫用フードと比べさまざまな成分が調整されています。
ライフステージによって、これだけ体に変化が現れるということが分かりますね。

【シニアになったワンちゃん猫ちゃんは、太る?痩せる?】

犬も猫も年を取ると体型はどのように変化するのでしょうか?あまり運動しなくなり消費カロリーが減るので、人でいう『中年太り』を想像される方もいるかもしれません。
実際、シニア用フードの多くは脂肪を減らした設計になっています。
その一方で食べても太れなくなってくるのでは、と考える方もいるかも知れませんね。
実はどちらも正解なのです。
実際には、中高齢(7歳前後)の猫では運動量が減るため太りぎみの猫の割合が多くなり、さらに高齢になった猫では痩せていく傾向があるということが近年の報告で明らかとなりました。(Laflamme et al,2005, Camargo et al, 2010)

これは高齢期に入ると嗅覚の低下によって食欲がなくなったり、消化吸収能力が衰えたりすることが原因で、痩せていく猫が増えるためと考えられています。

グラフから分かるように、猫では15歳(人で約73歳)をこえると、痩せている猫が半数を占めています。
そのため、高齢期の犬や猫のごはんを選ぶときには、老化に伴う配慮はもちろんのこと、体型に合わせてご飯を選ぶことが、健康で長生きの秘訣なのです。

高齢期の病気やフードについてご紹介してきました。
もう少し詳しく知りたい、という飼主さんは、動物病院で体型や健康状態をみてもらいながらフードについて相談してみるのもおすすめです。
愛犬、愛猫がいつまでも健康でいられるように、中・高齢期の犬、猫を飼っている飼主さんは、一度フードを見直してみましょう。

まだ若くて元気な犬、猫の飼主さんも、ぜひこのことを忘れずに覚えておいてくださいね。

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