食における、人・犬・猫のちがい

2016/12/17

人も犬も猫も、それぞれがちがった特徴を持つ動物です。

今回のコラムでは「食」という視点から、人・犬・猫のちがいをみていきます。

■それぞれ、どんな食事をするの?

動物が摂取する食べものの種類のことを「食性」といいます。
その食性によって動物を草食動物、肉食動物、雑食動物といったように分けることができます。

人は雑食動物、犬は肉食に近い雑食動物、猫は完全な肉食動物、となりますが、みなさんは雑食と肉食について、しっかりそのポイントをつかんでいるでしょうか?

「雑食動物」・・・肉(動物性の食品)を食べなくても生きることができる動物
「肉食動物」・・・穀物や野菜(植物性の食品)だけでは必要な栄養素を十分に摂れないため、肉(動物性の食品)を食べる必要がある動物

「雑食動物は肉も野菜も食べないといけない」とか、「肉食動物は肉だけを食べる動物で、穀物や野菜を食べてはいけない」というようなイメージをもっている人も多いかもしれません。
しかし、食性について間違った認識をもっていると、ペットに与える食事も間違ったものになってしまいます。
その間違いが、やがてペットの栄養バランス・健康にまで影響をおよぼすことになりかねないため、注意が必要です。

■食べものがちがえば、体内の構造もちがう?

消化器系の構成は、人も犬も猫もほぼおなじです。
ただ、食べるものがことなるため、細かな部分にちがいが生じてきます。

特に注目したいのが、歯のつくりと唾液腺、そして腸内細菌の数です。

歯のつくりについて、犬や猫は食べものを切り裂いて食べるため、犬歯が発達しています。
一方で人は、食べものをすりつぶして食べるため、臼歯(おくば)が発達しています。
また、顎が左右に動くのも人だけです。

唾液腺から「アミラーゼ」というデンプンを分解する酵素が出るのは、穀物をたくさん食べる人だけで、犬と猫の唾液腺からは分泌されません。
(犬や猫も、米や麦などに含まれる「デンプン」を腸内で消化・吸収して、エネルギー源として利用することができます。)

そして、食物繊維を多く摂る人の腸内には、それを栄養とする腸内細菌が、腸内容物1g当たり犬や猫の約1000倍、存在します。
ちなみに、肉食動物の食べものには食物繊維が少なく、消化や吸収にあまり時間がかかりません。
そのため犬と猫の腸の長さは、人と比べて短くなっているのです。

■食べもののおいしさは、味で判断?匂いで判断?

人と犬、猫では、食事における嗅覚や味覚も異なります。

嗅覚では、発達している順に 犬 → 猫 → 人
味覚では、発達している順に 人 → 犬 → 猫   となります。

「その食べものを好んで食べるかどうかの程度」のことを「嗜好性」といいますが、人と比べると、犬も猫も嗅覚の方が発達しているため、食べものの匂いが嗜好性を左右しているといえます。

人、犬、猫は、食べるものだけでなく、その食べものを消化する器官や、食べるときの感覚までちがうことがお分かりいただけたでしょうか。
人にとっての「最適な栄養バランス」が、犬や猫には当てはまりません。人の食事は犬や猫には栄養バランスが大きく偏ってしまうので与えないようにしましょう。

種類がちがうんだからいろいろちがって当たり前、と分かっていても、改めて考えてみると、具体的にどこがちがうのか説明するのは少し難しいですよね。

今回ご紹介したそれぞれのちがいを頭に入れて、愛するペットの食生活に少しでも役立ててもらえればと思います。

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