チューブ栄養のススメ第3回、最後はチューブ栄養の具体的なしくみについてです。
栄養が大切なのは分かっている。
だけど体の中に管を通すのは、やっぱりちょっと心配・・・と、不安に思うオーナーさんも多いでしょう。
そこで今回は、チューブを通して与える食事と、チューブの設置についてお話しします。
身体に必要な栄養は、小腸・大腸などの消化管で吸収されています。
また消化管は、自身に必要な栄養も消化管内の食べ物から直接摂取しています。
消化管は新陳代謝が活発なため、自身に栄養が入ってこなくなると真っ先にその影響を受け、図のように内部を覆う粘膜細胞や消化管全体が萎縮し、消化管の持つ機能を維持できなくなってしまうのです。
Q.チューブで与える食事ってどんなもの?
チューブから食事を与えるときは、シリンジ(注射器)を使って食事を注入します。
そのため、途中で詰まらないような流動性のあるものが求められます。
特に、鼻から入れる場合は細いチューブを使用するため完全な液体流動食が必要です。
現在は、この流動性もしっかり考えられたうえに、それぞれの病状に合った複数の専用製品があります。
ワンちゃんとネコちゃん両方に使え、総合的に栄養を供給するためのもの、胃腸に問題があるときのもの、腎臓病のときのものなどがあります。
Q.チューブ栄養を使うには大掛かりな手術をしなくちゃいけないの・・・?
チューブ栄養は、ワンちゃん・ネコちゃんの鼻や首、おなかの部分で外から消化管(食道や胃あるいは小腸)までチューブを通し、直接食べ物を投与する栄養療法です。
口のケガなどで食事ができない場合や、病気などで食欲が減退しているときに用いられます。
Q.チューブ栄養ってどこがいいの?
チューブ栄養には以下の3つの経路が主に使われます。
- ①鼻の穴→食道または胃
- ②首の横→食道または胃
- ③お腹→胃または小腸
お腹からチューブを設置する場合は、専用の術後服で隠すこともできます。
術後服とは、お腹からチューブを設置するなどの手術後に、その傷口を守るための服です。
使用時以外は、チューブをポケットに収納できるため、チューブや傷口が目立つこともなく、見た目にもスマートです。
チューブ栄養は、その見た目の印象もあって、かわいそうだ・・・と思われがちかもしれません。
ですが、口こそ使わないものの消化管を通じて確実に食事が与えられるため、生理的には自然な方法であり、必要な時には早期に開始することが大切です。
ワンちゃん・ネコちゃんにとっては、長いあいだ食欲不振や栄養不良に陥り、病状が改善しないことの方が、きっと辛いのではないでしょうか。
獣医師からチューブ栄養を勧められた際に、これまでのコラムでお伝えしてきた、食事と栄養の関係、そしてチューブ栄養のメリットを思い出していただきたいと思います。